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2025.03.13
ネイリスト

面貸しネイルとは?メリット・デメリットや料金相場を徹底解説

ネイリストの新しい働き方『面貸し』(場所貸し・間借り)とは?メリット・デメリットや料金相場、契約ポイントなどをわかりやすく解説します。面貸しを始めるポイントや注意点も紹介。フリーランス志向のネイリスト必見です。

面貸しネイルとは?

面貸しネイルとは、営業中の美容室やネイルサロンなど既存のサロンの一部スペースを借りて施術を行う働き方のことです。

簡単に言えば、サロンの空いている席や部屋、あるいは営業時間外の場所を間借りして、自分のネイルサービスを提供するスタイルです。

ネイルサロンの「場所貸し」や「間借り」とも呼ばれます。

通常、ネイルサロンで働く場合はサロンに雇用され従業員として勤務しますが、面貸しでは雇用関係は発生しません。

あくまでサロン側とネイリスト側は「場所のオーナー」と「利用者」という立場で契約を結びます。

具体的には、サロンオーナーが自店の空きスペースを独立したネイリストに貸し出し、ネイリストはそこを拠点に自身のお客様にネイルサービスを提供します。

フリーランスのネイリストにとって、自分で店舗を持たなくてもプロの設備や立地を活用して営業できる点が大きな魅力です。

面貸しの形態は美容業界全般で見られ、もともとは美容室がフリーランス美容師に自分のサロンの椅子(鏡台)を貸し出すケースが一般的でした。

近年では、美容室がネイリストやアイリスト(まつげエクステ技術者)にスペースを提供したり、その逆にネイルサロンがアイリストに場所を貸すなど、異なる業種間でも面貸しによるコラボレーションが増えています。

例えば美容室の一角にネイルブースを設けて顧客サービスの幅を広げたり、ネイルサロンがヘアセット専用スペースを設けたりといった形です。

なお、日本ではネイルの施術そのものには美容師免許など国家資格は必要ありません。

そのため、美容師免許が必要なヘア施術と比べてネイル分野は法律上のハードルが低く、間借りによるサービス提供が比較的容易です(ただし衛生管理や安全面の配慮は必要です)。

一方で、ヘアカットなど美容師免許が必要な施術を行う場合は、そのスペースが美容所として保健所に登録されている必要がありますので注意が必要です。

業務委託との違い

サロン業界で業務委託という働き方もよく耳にしますが、面貸しとは仕組みが異なります。

業務委託の場合、ネイリストはサロンと業務委託契約を結んでサロンの一スタッフのように働きます。

お客様は基本的にサロン側が集客し、提供した施術売上の一定割合を報酬として受け取る形態です(売上歩合制の給与体系に近いイメージ)。

売上は一旦すべてサロンの収入となり、その中から取り決めた歩合(たとえば売上の○%)がネイリストに支払われます。

この場合、集客や顧客管理はサロン側が行うため、自分でお客様を呼ぶ必要はありません。

一方、前述の通り面貸しネイルでは自分自身で集客したお客様に対して施術を行い、その対価から所定の使用料(家賃や手数料)をサロン側に支払います。

収入の流れが逆になる点が大きな違いです。業務委託はサロン主体・ネイリスト従属の関係に近く、面貸しはネイリスト自身が主となってビジネスを行う独立色の強い働き方と言えるでしょう。

また、業務委託ではサロンのメニューや価格設定に従う必要がありますが、面貸しではメニューや料金も自分で自由に設定できるケースがほとんどです。

シェアサロンとの違い

シェアサロンとは、複数のフリーランス美容師やネイリストたちが一つのサロン空間を共同で利用する形態を指します。

面貸しと似ていますが、シェアサロンの場合はサロン全体が最初から独立事業者向けの共有スペースとして運営されている点が特徴です。

たとえば全ての席がフリーランスに開放されており、各人がその中の一席を予約して使うようなスタイルです。いわば美容業界のコワーキングスペースのようなもので、時間単位や日単位で席を借りられるサービスもあります。

面貸しは通常、既存のサロンの一部を借りる形(他の席はオーナーや従業員が使用)であるのに対し、シェアサロンは初めから全席が独立した利用者用になっている場合が多いです。

またシェアサロン運営会社が集客支援や予約システムを提供してくれるケースもあり、個々の利用者はそれを活用できます。

面貸しとシェアサロンは重なる部分も多いですが、前者は「個別のサロンオーナーとの直接契約」、後者は「シェアスペース提供事業者との契約」という違いがあると考えるとよいでしょう。

ネイリストが面貸しを利用するメリット

ネイリストが面貸しという働き方を選ぶと、以下のようなたくさんのメリットがあります。

◉初期費用やリスクを大幅削減できる

自分で一からサロンを開業する場合、物件の契約費用や内装工事、設備購入など多額の初期投資が必要です。

それに比べて面貸しなら基本的な設備が整った場所を借りるだけなので、初期費用は格段に少なくて済みます。

例えばテーブルや照明、椅子などを新たに購入する必要がなく、敷金・礼金といった不動産契約費用も不要なケースがほとんどです。

開業資金のハードルが下がり、金銭的リスクを抑えられます。

◉自由度の高い働き方ができる

面貸しの場合、雇用されているわけではないので自分の裁量で働き方を決められるのが魅力です。

営業時間や休日の設定、提供するメニューやサービス内容、料金設定、お客様とのやり取り方法に至るまで、自身の方針で自由に決めることができます。

「もっと自分のペースで働きたい」「子育てや別の仕事と両立したい」「独自のネイルアートメニューを試したい」など、それぞれのライフスタイルや目標に合わせた柔軟な働き方を実現できます。

◉収入アップが期待できる

 一般的なサロン勤務では売上の一部が給与として支払われるため、自分が生み出した売上に対して手取りはそれほど多くありません。

一方、面貸しネイルでは自分で設定したメニュー価格の売上がそのまま自分の収入になります(そこから後述する使用料や経費を差し引く必要はありますが、それでも歩合制給与より取り分が大きくなる傾向があります)。

固定給ではなく成果次第で収入を伸ばせるため、熱心に顧客を獲得しリピーターを増やせば大幅な収入アップも期待できます。

また、売上から一定額をサロン側に支払った残りが自分のものになる歩合型契約の場合も、自分の頑張り次第で手取り額が増える点は同様です。

◉プロの設備や立地を活用できる

面貸しでは既存サロンの一角を使わせてもらうため、最初から綺麗でプロ仕様の設備を使って施術できます。

照明や椅子、時には集客用の看板や受付スペースなども共有でき、お客様にとっても快適な環境を提供しやすいです。

また、多くのサロンは駅近や人通りの多い便利な場所に立地しているので、自宅の一室で開業するよりも集客面で有利なケースが多いでしょう。

サロンの看板が出ていることでお客様からの信頼感も得やすく、「○○サロン内で営業中」といった形で案内できる利点もあります。

◉集客面で相乗効果が見込める

面貸し先が美容室や大きなトータルビューティーサロンの場合、そのサロンの来店客にネイルサービスをアピールできるチャンスがあります。

例えば美容室の待ち時間や施術中にネイルのチラシを見てもらったり、スタッフが「同じ店内でネイルもできますよ」と紹介してくれることもあるでしょう。

サロン側の集客力を一部活用できるので、全くゼロからお客様を探すよりスムーズに顧客を増やせる可能性があります。

特にヘアとネイル、まつげとネイルなど美容メニューの組み合わせは相性が良いため、お互いの顧客を共有し合えるメリットも期待できます。

◉将来の独立開業のステップになる

将来的に自分のネイルサロンを開業したいと考えている人にとって、面貸しでのフリーランス経験は貴重なステップになります。

実際に独立した立場で顧客管理や予約対応、売上管理などを行うことで、経営者視点のスキルが身に付きます。

低リスクな環境で経営の練習ができ、十分な顧客ベースと経験を積んでから満を持して自分の店舗をオープンするといった段階的なキャリアパスも描きやすくなるでしょう。

以上のように、面貸しネイルには「低コストで始められて自由度が高い」「実力次第で収入を伸ばせる」「良い環境を活用できる」といった多くのメリットがあります。自分の裁量で仕事をしたい独立志向のネイリストには大きな魅力と言えます。

面貸しネイルのデメリット・注意点

自由で魅力的な面貸しネイルですが、デメリットや注意すべき点も把握しておく必要があります。メリットと合わせて検討することで、より現実的な判断ができるでしょう。

◆収入が不安定になり得る

雇用されている場合と違い、面貸しでは固定給がありません。お客様がゼロの日は収入もゼロになります。

月によって収入の波が大きく、安定性に欠ける点は大きなデメリットです。特に立ち上げ当初は顧客が少なく赤字になる可能性もあります。

生活費を確保できるだけの売上を継続して上げられるか、計画を立てて臨む必要があります。

◆集客・営業は自分次第

サロンが宣伝や新規客獲得を全部やってくれるわけではないため、お客様を集めるのは自分の役割です。

チラシ配りやSNSでの発信、知人への声かけなど積極的に動かないと集客につながりません。

リピーターを増やす工夫や顧客管理も自分で行う必要があります。

「ネイルの技術さえあればお客様が勝手に来てくれる」わけではないので、マーケティングやコミュニケーションにも時間と労力を割く覚悟が必要です。

◆経費負担がある

面貸しでは売上がすべて自分のものになるわけではなく、所定の使用料や手数料をオーナーに支払う必要があります(詳細は後述の料金形態を参照)。

たとえば月額家賃や売上の○%といったコストが発生し、それを差し引いた分が純粋な利益となります。

売上が少ない月でも固定費は支払わなければならない契約だと赤字になることもあります。

また、施術に使うジェルやアート用品など材料費も自己負担です。売上と経費を自分で管理し、しっかり利益を出せるよう計算する必要があります。

◆事業者としての自己管理が求められる

フリーランスとして独立する以上、経理や税務、保険などの管理も自己責任で行わなければなりません。

毎日の売上記録や経費レシートの整理、確定申告の準備なども仕事の一部になります。

会社員時代には会社が代行してくれていた社会保険手続きや年末調整もなくなるため、自身で国民健康保険・年金への加入や確定申告を行う必要があります。

うっかり申告漏れをすると税務上のペナルティを受ける可能性もありますので注意しましょう。

◆サロンオーナーとの関係構築

面貸しとはいえ、他人のサロン空間を借りて営業する以上、オーナーとの良好な関係を維持することが大切です。

サロンのルールやマナーを守り、設備を丁寧に使うことはもちろん、トラブル時の対処や周囲への配慮も求められます。

例えば施術後の片付けや清掃、騒音への配慮など基本的なことを怠ると、オーナーから信頼を失い契約を打ち切られるリスクもあります。

また、自分のお客様とサロン側の常連客との間でトラブルが起きないよう気を配るなど、ホストとなるサロンの一員としての自覚も必要です。

◆福利厚生や保証がない

個人事業主として働くため、雇用者向けの社会保険や厚生年金、労災保険、雇用保険などの福利厚生が一切ありません。

病気や怪我で働けなくなった場合の休業補償も自己手配(民間保険など)となります。

有給休暇も当然ながらなく、休めばその分収入は発生しません。

長期的な将来設計(退職金や年金など)も自分で考えて準備しておかなければならない点は、雇用との大きな違いです。

◆環境や契約条件の変化リスク

借りているサロン側の都合で突然「来月で契約終了」となる可能性もゼロではありません。

サロンの経営状況悪化やオーナーの方針転換など、自分ではコントロールできない理由で働く場所を失うリスクがあります。その場合はまた別の面貸し先を探すか、自前でサロンを構えるかを迫られます。

また、オーナーと細かい取り決めをしていなかったがために後々トラブルになるケースもあります(例えば料金支払いのタイミングや、お客様対応の範囲などで食い違いが起きる等)

事前の契約で不明瞭な点を残さないことが重要です。

以上のようなデメリットや注意点を踏まえると、面貸しネイルは「自己責任の範囲が広い独立事業」であることがわかります。

技術力だけでなく集客力や経営感覚も求められますし、精神的なタフさや計画性も必要です。

ただし、これらの課題をクリアできれば前述の多くのメリットを享受できるため、向き不向きを見極めて判断することが大切です。

面貸しネイルの料金形態と相場

面貸しネイルを利用する際に気になるのが料金システムとその相場です。サロンに支払う使用料の形態はいくつかありますが、大きく分けて以下のタイプが一般的です。

◉売上歩合制(レベニューシェア)

たとえば「売上の30%をサロンに支払う」といった契約であれば、売上が10万円なら3万円をサロンに納め、残り7万円が自分の取り分となります。

歩合率はサロンや地域によって様々ですが、30~50%前後に設定されるケースが多いようです。

都市部の人気エリアや設備が充実したサロンでは歩合が高め(ネイリストの取り分が50%前後)、郊外や条件がシンプルな場所では歩合が低め(取り分が70~90%)という傾向があります。

歩合制のメリットは売上が少ないときの負担も少ないことです。お客様が少ない月は支払い額も減るため、赤字リスクを抑えられます。

その反面、頑張って売上を上げた場合には支払う額も増えるため、「これだけ売上を上げたのに手元に残るのはこれだけか…」と物足りなく感じる場合もあるでしょう。

◉定額制(家賃型)

たとえば「月額10万円でこのスペースを借りる」と契約する形です。定額制の場合、売上に関わらず一定額を支払うことになるため、売上が多くても追加の支払いは発生しません。

軌道に乗って顧客が増え売上が高くなれば、歩合制よりも多くの収入を自分のものにできる点がメリットです。逆に売上が少ない月でも家賃は固定で出ていくため、最初のうちは赤字になる可能性もあります。

料金相場は地域によって差がありますが、月額で5万~15万円程度が一つの目安です。

都心の一等地や高級サロン内だと月15万円以上になることもありますし、地方都市や小規模サロンだと5~8万円程度で借りられるケースもあります。設備や提供してもらえる備品によっても金額は変動します。

◉時間貸し・日貸し制

シェアサロンなどに多い形ですが、利用した時間や日数に応じて料金を支払う方式です。

たとえば「1時間あたり○○円」「1日利用で○○円」といった設定で、使った分だけ支払います。

時間貸しの相場は1時間あたり1,000~1,500円程度が多く、日貸しだと1日5,000~1万円前後が目安です。

時間単位で細かく利用できるため副業的に週1日だけ借りる、といった柔軟な使い方もできます。

ただし常に長時間利用するのであれば定額制の方が割安になる場合が多いです。自分の稼働状況に合わせて選ぶとよいでしょう。

以上のような料金形態がありますが、地域やサロンの条件によって相場は大きく異なります。都市部の人気エリアは家賃相場自体が高いため、面貸し料も高めに設定されます。

例えば東京23区の繁華街や大阪市内中心部などは月額料金が高く、地方や郊外エリアでは安くなる傾向があります。

また、ネイルデスクやライト類など備品をどこまで貸してもらえるかによっても料金に差があります。

すべて持ち込みなら安いが、サロン側が高品質な機材や商材を提供してくれる場合はその分高め、といった具合です。

面貸しネイルの収入モデル

収入モデルの一例として、具体的な数字でイメージしてみましょう。

仮に「月20日稼働し、1日4人の顧客に施術する」「客単価(施術料金)が平均8,000円」という場合、月の総売上は

◎8,000円 × 4人 × 20日 = 640,000円(64万円)

となります。これを元に、歩合制と定額制それぞれでネイリストの手取りがどう変わるか試算してみます。

◎歩合制の場合(取り分60%、サロンへ40%支払いの契約と仮定

64万円の売上に対し、40%にあたる256,000円をサロンに支払い、残る384,000円がネイリストの売上になります。ここからさらに材料費や消耗品代が例えば月5万円かかったとすると、手元に残るのは約33.4万円ほどです。

◎定額制の場合(家賃月10万円と仮定)

64万円の売上から、家賃100,000円を支払い、残り540,000円がネイリストの売上になります。ここから同様に材料費5万円を差し引くと、手元には約49万円が残ります。

上記の例では、売上64万円規模で見ると定額制の方が手取り額は多くなりました。

一方で、もし月の売上が半分の32万円しかなかった場合、

◎歩合制(60%取り分)ならサロンへ128,000円支払い、残り192,000円から経費差引→約14万円の手元利益。

◎定額制(家賃10万)なら残り220,000円から経費差引→約12万円の手元利益。

となり、売上が低いときは歩合制の方が手取り額が多くなるケースも考えられます。

つまり、歩合制は低リスク低リターン、定額制は高リスク高リターンの傾向があります。

自分の集客力に自信がある場合は定額制で契約し、売上を伸ばしていく方が有利です。

反対に、開業直後でお客様がまだ少ないうちは歩合制で様子を見て、安定してきたら定額制に切り替える、といった戦略も考えられます。

なお、実際の契約では上記のような純粋な歩合制か定額制かに加えて、「最低保証+歩合」や「月◯件まで定額、超過分歩合」といったハイブリッドなケースも存在します。

また材料費(ジェルやアート用品)をサロン側が負担する代わりに歩合率を高めに設定する等、個別の条件交渉もありえます。

契約内容次第で実質的な取り分は変わりますので、単純な数字だけでなく細かい条件も含めて収支シミュレーションしてみることが重要です。

面貸しネイル契約時に確認すべきポイント

実際に面貸しで働くことを決めたら、サロンオーナーとの間で契約を結ぶことになります。

口頭の約束だけでなく、トラブル防止のためにも書面で契約書を交わすことが望ましいです。契約に際しては、以下のようなポイントを必ず確認し、明確にしておきましょう。

◆料金・報酬の取り決め

まず最重要なのが、サロンに支払う料金や報酬配分の条件です。

歩合制なら歩合率(〇%をサロン側に支払い)、定額制なら家賃(月額いくら)、その他時間貸しなら時間単価など、金額をはっきり決めます。

加えて、売上のどこまでを対象とするか(消費税込みか税抜きか、物販収入はどう扱うか等)も取り決めておきます。

支払いのタイミング(毎月末締め翌月○日払い等)や方法(現金手渡し・振込)も確認しましょう。

◆利用可能な設備・備品

借りられるスペースでどの設備や備品が使用可能かを確認します。

ネイルデスクやチェア、施術用ライト、集塵機、UV/LEDランプ、タオルウォーマーなど、サロン側で用意されているものと、自分で持ち込む必要があるものを明確にしましょう。

例えば「テーブル・椅子は貸与、ジェルやアート用品は持込」などです。また、消耗品(グローブやマスク、タオル類、消毒液など)の補充はどちらが負担するのかも取り決めておきます。

備品の故障時の対応(修理費負担は誰か)についても確認しておくと安心です。

◆利用日時・営業時間

スペースを利用できる曜日や時間帯も契約で定めます。

サロンの営業時間内であれば自由に使えるのか、時間外利用は可能か(例えば美容室が定休日の日にネイルだけ営業してよいか、夜遅くまで残業してよいか)など、事前にオーナーとすり合わせましょう。

鍵の受け渡し方法や、警備システムへの対応も確認が必要です。

利用可能時間が限られていると予約の受け方にも影響するため、自分の希望する働き方に合った条件かどうかチェックします。

◆集客・顧客対応のルール

お客様の予約方法や来店時の対応についても取り決めが必要です。

例えば、お客様からの予約連絡はネイリスト自身が直接受け付けるのか、それともサロンの予約システムや受付を通すのか。サロンの電話や予約サイトにネイルのメニューを掲載してもらえるのか、といった点です。

会計についても、施術料金をサロンのレジで精算するのか(その場合後で取り分精算)、ネイリストが直接現金やキャッシュレスで受け取るのかを決めます。

特に初めて来たお客様はサロン受付に声をかけることも多いので、受付スタッフへの周知も含めお客様導線を明確にしておくことが大事です。

◆責任範囲と損害対応

施術中のトラブルや店内設備の破損などが起きた場合の責任の所在も明確にしておきましょう。

例えばネイリストの施術ミスでお客様に怪我をさせてしまった場合の対応(賠償責任)は基本的にネイリスト側にあります。

また、お客様から預かった貴重品の紛失や盗難、施術中のトラブルについてサロン側は関与しない旨を契約書に明記されることもあります。

逆にサロンの設備の不備でこちらが損害を被った場合(椅子が壊れて機材が破損した等)の対応なども取り決めがあると安心です。賠償保険に双方加入しておくことが望ましいケースもあります。

◆禁止事項やルール

サロン内で禁止されている行為や遵守すべきルールも確認します。

例えば「サロンの名前やロゴを無断で自分の宣伝に使わない」「サロン内は禁煙」「閉店後は音楽を大音量でかけない」「自分の顧客にサロンの商品を無理に勧めない」など、オーナーごとに気にするポイントは様々です。

逆にネイリスト側の希望として「自分の顧客に対しサロンの他サービスの勧誘をしないでほしい」とお願いしたい場合もあるでしょう。

お互い気持ちよく働くために、前もって細かなルールも話し合って共有することが大切です。

◆契約期間と解約条件

契約の有効期間(例えば1年契約・自動更新あり等)と、途中解約する場合の条件も決めておきましょう。

例えば「解約したい場合は○ヶ月前までに通知」「○年未満で解約する場合は違約金○円」などの取り決めがある場合があります。

オーナー都合で契約終了する場合の通知期間も取り決めておけると理想的です。また、将来的に契約内容を変更したい場合(例:歩合を変更、固定費を変更など)の扱いについても触れておくと安心です。

このように契約時には多岐にわたる事項を確認します。

口約束で済ませてしまうと、後で認識違いからトラブルに発展することもあります。

些細に思えることでも不明点はその場で質問し、合意事項は書面に残すようにしましょう。契約書を交わす際は内容をよく読み、不利な点がないか納得してから署名することが大切です。

面貸しネイルの始め方(サロンの見つけ方)

メリット・デメリットを理解し準備事項を押さえたら、いよいよ実際に面貸し可能なサロンを探して始める段階です。

初めて面貸しに挑戦するネイリスト向けに、始め方の基本ステップとサロン探しの方法を紹介します。

Step1:自身の強み・目標を整理する

まずは自分がどのようなネイルサービスを提供したいのか、目指す働き方を明確にしましょう。

得意なネイルアートのジャンルやターゲットとする客層、月どれくらい働きたいか、将来的な独立開業の予定などを整理します。

これによって「○○エリアの落ち着いたサロンで主婦層向けにやりたい」「若者が集まる街で最新トレンドネイルを発信したい」等、自分に合う面貸し先のイメージが具体的になります。

Step2:集客の準備をする

面貸しを始める前に、ある程度の集客基盤を用意しておくと安心です。

例えばSNSアカウントや作品集を整備して、自分のネイルデザインを発信しファンを増やしておくことは有効です。

インスタグラムなどに施術写真を掲載し、予約や問い合わせに対応できるよう連絡先を載せておきます。

また過去に担当したお客様に独立の旨をお知らせし、応援してくれる方にはオープン後に利用してもらえるよう準備するのも良いでしょう。

ゼロから集客を始めるより、スタート時点で数人でも固定客の当てがあるだけで軌道に乗るスピードが違います。

また、必要な技術や資格(ジェル検定やネイルサロン衛生管理士など民間資格ですが持っていると信頼度アップ)を再確認し、不足があれば勉強する時間も考慮しましょう。

Step3:面貸し先の条件を検討する

自分に合ったサロンを探すため、希望条件をリストアップします。

エリア(勤務地)はどこが良いか、家賃や歩合は最大いくらまでなら負担できるか、スペースの広さや設備に希望はあるか、一緒に働くスタッフの雰囲気はどうか、など優先順位をつけましょう。

例えば「家から通いやすい新宿周辺、月額8万円以下、ネイル専用ブースがあること、できれば美容室内よりもネイルサロン内がよい」など具体的に描くと探しやすくなります。

Step4:面貸し可能なサロンを探す

条件が固まったら、実際に受け入れ先となるサロンをリサーチします。探し方としては以下のような方法があります。

知り合いや同業者からの紹介してもらう方法。

業界内のネットワークを活用すると、非公開で募集している情報が得られることもあります。

SNSやコミュニティで情報収集する方法。

XやInstagram、Facebookの美容師・ネイリストコミュニティで「面貸し募集」の情報が出ていないか探します。最近はハッシュタグ「#面貸し募集」「#ネイル面貸し」などで検索すると、募集投稿が見つかることもあります。

求人サイトで検索する方法。

美容業界専門の求人サイトには「業務委託・面貸しOK」といった条件で検索できるものがあります。実際に「ネイリスト 面貸し」で求人情報を掲載しているサロンも多く、募集要項から報酬形態や条件を知ることができます。ただし求人サイトの場合、厳密には業務委託契約の募集として掲載されているケースが多い点には注意しましょう

マッチングサービスを利用する方法。

最近では、サロンの空きスペースとフリーランスの美容師・ネイリストをマッチングする専用のサービスも登場しています。例えばサロミーでは、希望のエリアや条件に合った面貸し可能なサロンを検索し、紹介してもらうことができます。

このようなサービスを活用すれば、個人では探しにくい条件のサロンも効率的に見つけられるでしょう。

Ste5:サロン見学・面談を行う

候補となるサロンが見つかったら、実際に見学やオーナーとの面談を申し込みます。

サロンの雰囲気や立地、お客様層を自分の目で確かめることが大切です。

面談では、自分の経歴や得意分野、集客計画などをアピールしつつ、相手の要望もヒアリングします。

契約条件の仮交渉もこの段階で始めましょう(報酬や利用日時の希望など)。相手にとっても「どんなネイリストにスペースを貸すのか」は重要なので、礼儀正しく誠実に対応し、信頼関係を築くよう心がけます。

Step6:契約締結・必要手続き

お互い納得できる条件で合意したら、正式に契約書を交わします。

前述したポイントを踏まえ、料金やルールを明文化した契約内容になっているか確認しましょう。契約書に署名・捺印し、控えを受け取ります。

また、開業に関する行政手続きも忘れずに。個人事業主として働く場合、税務署に「開業届」を提出しておくと後々の青色申告などで有利になります(提出自体は義務ではありませんが、青色申告控除等を受けるなら必要)。

その他、必要に応じて保健所や業界団体への届け出、賠償保険への加入も検討しましょう(ネイルの場合法的な営業許可は不要ですが、念のため所轄官庁に相談すると安心です)。

Step7:準備・周知して開業

契約後、実際に営業を始める前に必要な備品の搬入や環境整備を行います。

自分で用意するネイル道具や消耗品を揃え、サロン側の設備も使い方を確認しておきます。価格表やメニュー表、カルテなど営業に使うツール類も準備しましょう。

また、正式にスタートする日が決まったらお客様への周知を行います。SNSで告知したり、知人や元顧客に案内状を送ったり、必要に応じてチラシやWeb広告を出すのも良いでしょう。

「○月○日から△△サロンにてネイルサービス開始します!」とアピールし、スムーズに集客できるよう計画します。

Step8:営業開始後も改善を重ねる

晴れて面貸しネイルでの営業を開始した後も、最初のうちは試行錯誤が続くかもしれません。

価格設定を見直したり、集客施策を強化したり、サロンオーナーと相談しながらより良い形に改善していきましょう。

うまくいけば顧客が増えて予約が埋まってくるので、次第に収入も安定してくるはずです。軌道に乗ったら改めて契約条件の見直し交渉をしてみるのも一つです(歩合率の交渉やスペース拡大など)。

以上が面貸しネイルを始める大まかな流れです。最初は不安も大きいと思いますが、しっかり準備とリサーチを行い、一つ一つステップを踏めば着実にスタートできます!

面貸しネイルはネイリストにとって自由で魅力的な働き方ですが、その分自己責任も大きい挑戦です。

メリット・デメリットを正しく理解し、十分な準備と計画を持って臨めば、フリーランスとして成功をつかむことも夢ではありません。

ぜひ本記事の情報を活用して、自分らしい働き方への一歩を踏み出してください。あなたのネイルキャリアがより充実したものになることを応援しています!